【みんなで作る、珈琲屋vol.9】「人と人がつながることのできる商品を提供したい」季節のおやつとお食事Infiniment-アンフィニモン-
「環境のいいところでものづくりができて、お客様もその環境のいいところでそういうものに触れていただきたい」
こう語るのは、金沢市でグラフィックデザインやイラストなどクリエイティブな仕事をしながら、「季節のおやつとお食事アンフィニモン」としてカフェや焼き菓子などを販売している中野さんです。現在はお店の開いていない時間帯を間借りして活動している中野さん。コロナ禍で訪れた転機や今後の目標、お菓子作りへの話を伺いました。人と人がつながることのできるような商品を提供したい、そのような中野さんの想いをご紹介します。
略歴
石川県金沢市生まれ
石川県立工業高等学校デザイン科卒
WAOクリエイト代表
グラフィックデザイン、イラストレーション作成
「季節のおやつとお食事アンフィニモン」として焼き菓子や間借りでカフェなどでも活動
2012年7月 WAOクリエイトを福岡県にて立ち上げ。
それまでもグラフィックデザイン、イラストレーション作成を行いながらCATVの番組製作のアシスタントやイベントの記録撮影などの仕事も手掛ける。
2015年7月 拠点を石川県金沢市に移し、現在に至る。
2005-2015年 福岡県にてSugar&Butterにて焼き菓子を中心として勉強
2015-2020年 石川県にて加藤千明料理教室にてフルコースのお料理を勉強
2018-2020年 金沢市内の店舗にて焼き菓子を販売
2020-2021年 金沢パン工房クーシュにてパンの成形〜焼成を勉強
2021年6月より間借り店舗にて不定期カフェ
「季節のおやつとお食事アンフィニモン」をスタート
間借り店舗だけでなくイベント出店などを行う。
2020年 金沢クリエイターズシンジケート
メンバーとして「FUUU-RIN!」展を企画・運営に携わる。
2022年 金沢クリスマスマーケット実行委員会メンバーとしてイベント運営にも携わっている。
目次
アンフィニモンは生きてきた集大成としての活動
北野:まず、自己紹介をお願いします
中野:中野武生子(なかのたいこ)といいます。石川県金沢市で生まれ育ちました。
グラフィックデザインとイラストを描く仕事を生業としています。
2021年6月から縁あって、「季節のおやつとお食事アンフィニモン」という名前で活動をはじめました。
焼き菓子を焼いたり、夜だけ開いているお店の昼間や開いてない時間帯を間借りで借りて、カフェをしたりおやつを売ったりしています。
コロナ禍で訪れた転機
北野:「アンフィニモン」を始めたきっかけについて教えてください。
中野:もともと私は、グラフィックデザインとイラストを仕事にしながら、趣味でお菓子を焼いたり、料理を作ったりするのが好きでした。
お菓子教室に10年間通って、お菓子を焼いたりラッピングしたり、ずっと一貫して習っていたんです。
お菓子を仕事にするつもりはありませんでしたが、50歳をめどにいままで生きてきたことを集大成として、自分がデザインしたイラストで、お菓子や料理をラッピングして売りたいと思っていました。
しかし、デザインやイラストの仕事をしながらお菓子や料理を仕事に取り入れる機会がなかなかありませんでした。
でも、ちょうどコロナ禍でデザインの仕事が一気になくなった時期があったんです。
デザインの仕事は偏っているので、演奏会やイベント関連の仕事が一気になくなってしまった分、「何をして生きていこう」と思った時期がありました。
そのときにお菓子や料理教室も習っていて、パンを焼く経験がなかったからパン屋さんにパートで行きつつ、修行をしたりする機会があったんです。
そこで、これを機会に「お菓子とか売ってみよう」と思うようになりました。
そして2021年にライブハウスをされている知人から、「うちのお店の空いてる時間にちょっとお菓子とか売ってみる?」と言われたのがきっかけです。
「どこまでも限りない」自由の中のこだわり
アンフィニモン、名前の由来
北野:アンフィニモンの活動をしているなかで、中野さんのこだわりや目的があれば教えてください。
中野:ちょっとずれるかもしれませんが、「アンフィニモン」というのはフランス語で「どこまでも限りない」という意味なんです。
いままで自分が仕事をするなかで、不自由さを感じることや「もっとこうだったらよかったのにな」と思うことがあったんです。
フランスに住む家族に相談したら「アンフィニモン」という名前がいいんじゃないかと言われました。
それで、「しがらみもなく自由になっていきたいな」という思いを込めて「アンフィニモン」と名付けました。
動物性の食材をなるべく使わないプラントベースを取り入れる
中野:フランスでは「プラントベース」というのが割と主流になっています。
プラントベースは、できるだけ動物性のものを極力使わないので、ビーガンともちょっと違っていて、私のなかではビーガンよりもやわらかい感じの活動です。
そのようなプラントベースをときどき取り入れて、完全に断つ訳ではないのですが、植物性由来の材料だけで作るお菓子があったりします。
プラントベースのお菓子を取り入れつつ、できるだけ北陸の食材を使って、なるべく保存料を使わないやさしい素材で提供したいというのが私のこだわりです。
人と人がつながるような存在の商品を目指して
お客様や自分にも環境の良いアトリエをつくりたい
北野:では今後の展望や夢を教えてください。
中野:いまの展望は、調理や販売場所を間借りしてる状態なので自分のアトリエが欲しいというのが一番の目標です。
自分のアトリエでは、お菓子も料理の販売もしながら、イラストを書いたりデザインをしたりできるスペースも欲しいなと思ってます。
食事って環境がすごく大事だと思います。
お菓子や料理を作ったり、絵を描いたり、デザインするのもクリエイティブなことです。
環境のよい場所で、ものづくりができて、お客様も環境のよいところで、そのようなものに触れていただけたらなというのが今の目標。
北野:なるほど、ありがとうございます。すごく素敵ですね。
中野:夢だけは大きいんです(笑)
素朴だけど安心して食べられる商品
北野:「アンフィニモン」という活動をとおして、お客さんに伝えたいことを一言お願いします。
中野:悪い意味ではないですが、自分自身がすごく立派なものを作れるとは思っていません。
すごく上質なお菓子や立派なものは世の中にすでに存在してるし、そういう立派なお店と立ち向かうつもりはないです。
自分ができるのは素朴だけど、安心して食べられるものをご提供することだと思います。
人と人がつながるような商品を提供したい
中野:私はお菓子や料理単体よりも、自分自身も商品の一部だと思っています。
「この人のお菓子や料理を食べたいな」と思ってもらえるような、人の温かみを感じるような商品を作っていきたいです。
私、名前がなかのたいこなんですけど、ニックネームが「つな」って言います。
「つな」って、じつは犬の名前だったんです。
でも、最近は繋がりの「つな」だなと思っているので、「人と人がつながる」そのような存在の商品、お菓子とか料理を提供できたらいいなと思っています。
さいごに
グラフィックデザインやクリエイティブなお仕事もされながら、「季節のおやつとお食事アンフィニモン」の活動を精力的にしている中野さん。
地元北陸の食材をはじめ、やさしい植物由来のプラントベースの原材料を使用し、安心して食べることのできるお菓子やお料理を提供しています。
「どこまでも限りない」その名のとおり、人と人のつながる商品を提供する、環境のいいアトリエの実現を楽しみにしています。