コーヒー好きに贈る!世界を巡るコーヒー文化まとめ
朝食のトーストと一緒に、仕事の中休みに同僚と談笑しながら、古い友人との再会で気恥ずかしさを溶かすため、コーヒーは心の潤滑剤になってくれます。
それは洋の東西を問わず日常の一コマになり、同じコーヒーでもその地域により育まれた文化と様式は異なります。
この記事では、まだ自分の好みの味が見つけられない人へコーヒーの文化や歴史を知ることでより深くコーヒーの味を理解し、お気に入りの一杯に出会うお手伝いをしたいと思います。
目次
コーヒーの歴史・カルディの伝説とは
コーヒーの歴史をお話しするときに必ず登場するのがカルディ伝説です。
カルディ伝説とはエチオピアのヤギ飼いの青年「カルディ」の飼っていたヤギが興奮して飛び回っているのを見たところから始まります。
ヤギが食べていた草原の赤い実を自分も口にしたカルディは力がみなぎり、ヤギと一緒に踊り出したのです。
その話を聞いた僧侶が、修道院に赤い実を持ち込み試したところ、夜の修行の睡魔に悩んでいた僧侶たちは集中して修行に励むことができました。
この不思議な赤い実がコーヒーの実だったのです。私も眠気覚ましにコーヒーを飲みますが、眠気を覚ます薬としての歴史があるのですね。
コーヒー原産世界トップ3の文化と特徴
コーヒーは世界中で飲まれている飲み物です。私も小さいころから砂糖と牛乳をたっぷり入れたコーヒーを飲んでいました。生活に溶け込んだ文化とも言えるのではないでしょうか。
また、世界に目を向けるとその国の文化によってさまざまな味の傾向があり、それに合わせた飲み方が文化として根づいています。同じコーヒーなのにおもしろいですね。私は「ブラジルコーヒーはおいしいな」なんて言ってしまいます。
同時に好みの一杯を見つける上でコーヒー文化の長い国、産業の歴史の長い国を知っておくのはとてもよいことです。
ここではコーヒーの原産世界トップ3の文化と特徴をお話しします。
原産世界トップ3は以下のとおりです。
- 1位:ブラジル
- 2位:ベトナム
- 3位:コロンビア
順番に特徴を解説していきますね。
1位 ブラジル
2018年時点でのコーヒー豆生産量の1位は、ブラジルです。
1720年代にフランス領のギアナから苗木が持ち込まれ生産されるようになったのが始まりです。
また別のルートでインドからリオデジャネイロ、サンパウロへと伝わり生産量が急拡大し、1850年には世界1位のコーヒー生産国になりました。
生産される主な種類はアラビカ種ですが、広大な国土を活かしてさまざまな種類のコーヒーを栽培しています。
2位 ベトナム
2018年時点でのコーヒー豆生産量の2位はベトナムです。
ベトナムは1800年代半ばに西アフリカのカネフォラ種がフランスから持ち込まれ生産がスタートしました。
1900年代に生産量が急伸。コーヒー生産国第2位に成長し、最近ではカネフォラ種以外にもアラビカ種の生産にも注力しています。
ベトナムのコーヒー文化は、コンデンスミルクを入れたカップの上に、粗挽きで深煎りの豆を入れます。そこにお湯を注ぎ濃いコーヒーが滴るのをゆっくり待ってかき混ぜる、独特の飲み方をします。
濃いコーヒーに甘みの強いミルクを入れるとどんな味がするのか、一度試してみたいですね。
3位 コロンビア
2018年時点でのコーヒー豆生産量の3位はコロンビアです。
18世紀、かつてスペイン領だったコロンビアでコーヒーの生産がスタートしました。長い間世界2位でしたが、今はベトナムにその座を譲っています。また高品質のアラビカ種を生産する国として、高い知名度があります。
地理的には赤道直下ですが、ほとんどが山岳地帯なことがコーヒー栽培に適した土地となっている理由です。
スペシャルティコーヒーの生産にも積極的でコロンビアブランドを確立しています。
ヨーロッパのコーヒーの文化と歴史
ヨーロッパのコーヒー文化の始まりはイスラム文化圏から。その過程でエジプトで砂糖、オランダやフランスでミルクと出会い、キリスト教国へと広がりました。
その際に各国のコーヒーの呼び方は以下のようになりました。
- アラビア:カーファ
- ヨーロッパ:カフィ、コフィ
- ヨーロッパ南部や西部、ドイツ:カフェ
- イギリス、オランダ:コフィ
- ロシア:コフェ
呼び方が違うように、今では飲み方も国や地域によりアレンジされ、現地の飲み方で飲むと歴史や文化が感じられ楽しいです。コーヒーを飲むことで歴史や文化に想いを馳せるなんて素敵ですね。
イタリア
深煎りの豆をイタリアンローストと言いますね。かつてナポレオンが「大陸封鎖令」を発令したのが由来です。
大陸封鎖令でイタリア国内にコーヒー豆が入らなくなり、少ない豆でも淹れられるエスプレッソが生まれました。エスプレッソは深く煎った豆を極細挽きにして、高い圧力で抽出します。
豆は表面にオイルが浮き出すほど深く煎られたことから、この焙煎度を「イタリアンロースト」と言うようになったのです。
フランス
イタリアンローストより一段浅いのが「フレンチロースト」。フランスでは深煎りのコーヒーがよく飲まれています。
フランスの朝食は、深煎りのホットコーヒーに同量のミルクを入れた「カフェ・オ・レ」とクロワッサンが好んで食べられます。
最近フランスのカフェではドリップコーヒーのほかに、イタリアで好まれるエスプレッソも飲まれるようになりました。
北欧
北欧はバリスタの世界チャンピオンを数多く輩出している地域です。コーヒーを通して家族や友人との時間を過ごすのが文化となっていることが要因でしょう。
また「サードウェーブ」と呼ばれる、浅煎りにして香りを楽しむスタイルは北欧が始まりと言われています。
北欧でスペシャルティコーヒーの人気が出たことで、アメリカでも火がついたというのが通説になっています。
アメリカのコーヒーの文化と歴史
アメリカは世界最大のコーヒー消費国です。それは広い国土に人がたくさんいることが理由の1つです。桁違いの消費量は実に日本の3倍にもなります。
しかし1人当たりの消費量になると日本と同量で、多様な文化と貧富の差から来るものです。
また日本でもおなじみのスターバックス発祥の地でもあります。スターバックスでコーヒーをテイクアウトして街を歩く映画のワンシーンに憧れた人もいるのではないでしょうか。
日本におけるコーヒー文化と歴史
日本でのコーヒーの歴史を語るうえで欠かせないのが、日本コーヒー発祥の地である神戸です。
神戸はおよそ150年前の開港初期からいち早く西洋文化を受け入れました。その中の1つにコーヒー豆の輸入があり、日本におけるコーヒー文化の起点となりました。
明治時代からコーヒー豆の輸入が始まった神戸では早くから焙煎所が誕生しました。現在でも街にはたくさんの「珈琲」を提供するお店が見られます。
そんな神戸の独特な喫茶店文化の魅力と歴史をひもといていきます。
日本にコーヒーが入ってきたのはいつ?
日本にコーヒーが入って来たのはおよそ150年前明治初期と言われています。まさに文明開化の頃ですね。
300年ほど前にはブラジルでコーヒーの生産が行われていたことを考えると、日本におけるコーヒー文化はまだ日が浅いのです。
日本のコーヒー発祥の地は神戸?
幕府の解体とともにいち早く開港した神戸に、日本ではじめてのコーヒーが持ち込まれました。その意味で日本のコーヒー発祥の地は神戸といえます。
明治初期からコーヒー文化が伝わった神戸では、独自の喫茶店の文化が発展してきました。
日本で最初のカフェ「可否茶館」とは?
北の大地北海道は、コーヒー文化の深いヨーロッパと同じ緯度にあります。
中でも北緯43度に位置する札幌に開業したのが「可否茶館(カヒサカン)」。
北海道にお店を構えたのはヨーロッパと同じ涼しく低い湿度、そしておいしい空気があるからです。
可否茶館は1971年に札幌大通りへカウンター14席の小さな喫茶店を開店したのが始まり。現在は売店も含め19店舗になっています。
急成長!アジアの国のコーヒー文化最新事情
コーヒーの生産が可能な地域をコーヒーベルト(赤道を中心に南回帰線から北回帰線の間)といいます。なかでもアフリカ、南アメリカに次いで有名産地が集中するのが東南アジアです。
また独特のコーヒー文化が発展してきたのがアジア圏。タイ式コーヒーやベトナムコーヒーという名前を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
高温多湿な地域で気候で培われたコーヒー文化とは一体どういったものなのでしょうか。それぞれの国のコーヒー事情を見ながらその文化をのぞいてみましょう。
タイ
コーヒーのテイクアウトはビニール袋に入れて渡してくれます。こういったおおらかさにタイの文化が感じられます。
近年、開発の進むタイでは西洋圏のチェーン店に似たコーヒーショップ、カフェが立ち並び、昔ながらの布でのドリップで練乳を入れて飲むスタイルの屋台がずいぶんと少なくなりました。
中国
「お茶」の文化が根強い中国では、近年若者を中心にコーヒーが流行しています。
スターバックスや西洋圏のチェーン店だけではなく、最近では中国で生まれたコーヒーチェーン店もできています。
しかしブームが起きる前は、お茶文化の根強い中国ではコーヒーが受け入れられるか疑問を持つ人も多く、撤退するお店も多かったそうです。
中国には日本の喫茶店のようなものがなく、あるのは本格的なお茶を出すお店。若者が気軽に、とはいきませんでした。
そこへコーヒーショップの登場で、中国のコーヒー文化が発展しました。今ではスターバックスコーヒーで世界一の面積のお店を上海に開店するまでになりました。
ベトナム
ベトナム式のコーヒーの特徴であるステンレスフィルターは、かつてフランスの植民地だった歴史から。
ベトナム式コーヒーの特徴は以下のとおりです。
- 深煎りのコーヒー豆を使用
- バターとたっぷりのコンデンスミルクを入れる
- ステンレスフィルターでコーヒーを抽出
時間をかけて抽出したコーヒーは香りと苦みが強く、最初に入れたコンデンスミルクをスプーンで混ぜるとコーヒーの味がしっかりしたカフェオレになります。
透明のガラス製のコップに入れて飲むのもベトナム式の特徴です。
まとめ
歴史が定かではないほど古くからあるコーヒー、始まりは薬だったようです。私たちも眠気覚ましとして飲むのと同じですね。
コーヒーはアラビアで生まれアフリカからヨーロッパ、アメリカへ渡り、今私たちも日常的に口にし、世界中のホッと一息を演出しています。
今、サードウェーブと呼ばれる流れがありますが、新しい味を取り入れることでこだわりの味を再確認でき、またそれがお気に入りの一杯を見つける近道となるはずです。
世界各国のコーヒーの飲み方をさらに知りたいという人は下記の記事も参考にしてみてください。これまでに出会ったことのないコーヒーを味わうことができますよ。
妻の「おいしいね」が聞きたくて。きっかけは結婚式の引き出物。そこで頂いたドリップバッグの香りに魅せられてコーヒーの道へ。お小遣いの範囲で楽しめるのがコーヒー、少しずつ道具を揃えて毎朝妻と私の分をドリップしています。寝ぼけ眼で「いい匂い、今日もおいしいね」コーヒーの香りと一緒に幸せが広がります。妻のおいしいねが聞きたくて、今日も豆を挽いています。